交通事故では「過失割合」というものがあります。要は、「発生した事故の原因はどちらの比重が大きかったか?」を数字で割り出すものです。
過失割合は「25:75」など、5%単位で出していくのですが、補償に大きく関わってくるので安易に提示された過失割合を受け入れてはいけません。
交通事故被害者にとって少しでも納得のいく形で補償が受けられるように、過失割合について詳しく解説していきます。
多くの交通事故被害者は警察が過失割合を出していると考えていますが、これは違います。警察は「民事不介入」といって、刑事事件以外については深く踏み込んではいけないというルールがあります。
そのため交通事故による過失割合は、警察が取った事故当事者の「調書」をもとに保険会社が決めていきます。
過失割合は、治療費や物損の修理費用の負担する割合に使われます。
例えば、過失割合が30:70の交通事故被害者がいるとします。このとき、被害者の車の修理費用が20万円であれば、14万円を相手に請求できる流れとなります。
もし。過失が0%であれば加害者もしくは加害者側の保険会社が、被害者への補償を全額負担することになります。
物損や治療費など、トータルの補償額が大きくなればなるほど過失割合は重要です。過失が10%違うだけで数万円〜数十万円の差が出ることも珍しくありません。過失割合によって、補償内容が大きく変わるのです。
交通事故はさまざまな発生状況があります。停車している車に追突した場合などは0:100とすぐにわかりますが、どちらも動いた状況で発生した交通事故は、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」「民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準(赤本)」に書かれた内容を基準にします。
上記の本には、事故発生状況別に過去の裁判例などから詳細に過失割合の決め方が記載されています。例えば、「15キロ以上の速度違反」した場合は過失が5%高くなります。
また、「ウインカーを出すのが遅かった」「相手側が優先道路だった」など、状況別に細かく過失の増減方法の基準が書かれています。
事故当事者の双方の言い分をもとに、過失割合を調整していくのが一般的な流れです。
交通事故では、助手席や後部座席に乗車中の人(同乗者)は過失は発生しません。これは運転に関わっていないため、どんな状況であっても同乗者は例外なく過失はゼロです。
例えば、過失100%の車であっても、同乗者には過失は発生しないのです。どんな事故でも同乗者は「一方的な被害者」となります。自爆事故(自損事故)の車に同乗していた場合は、「運転手の被害者」という形になるので自賠責保険を使って治療可能です。
交通事故では加害者の「ウソの証言」により、被害者にとって理不尽な過失割合になることがあります。例えば、被害者は青信号を直進していたのにもかかわらず、加害者は「相手が信号無視をしてきた」などというものです。
その他、「ウインカーを出さずに進路変更」「スピード違反」なども加害者は隠すことは多々あります。一方的な被害者であるにもかかわらず、加害者のウソの証言によって「10:90のはずの過失割合が50:50になった」というケースも当院ではありました。
では、加害者がウソの証言をしてきた場合はどのように対処したらいいのでしょうか?
結論としましては「ドライブレコーダー」もしくは「目撃者からの情報」のどちらかがないと過失割合を覆すことはできません。理不尽ですが、これが現状の交通事故です。
たとえ加害者がウソの証言をしても、「加害者の証言が違うと客観的にわかる証拠」がないと過失割合は変わらないのです。ブレーキ痕や車体の傷の深さによってある程度の事故状況はわかりますが、動画や証言がないと証明できないものは「お互いの主張のみ」が判断材料となります。
そのため、加害者がウソの証言をしてきたら、基本的に被害者不利といっていいでしょう。
交通事故は相手と接触せずに発生することもあります。
例えば、「バイクを運転中、脇から飛び出してきた車を回避しようとして転倒した」「歩行中に車と激突しそうになり転倒してしまった」などの場合です。
上記のような交通事故を「非接触事故」と呼び、過失割合でトラブルになりやすいです。
理由としては、相手の車体にキズがないので「バイクが勝手に転倒した」「車に関係なくただ歩行者が転んだだけ」と言われたとき、交通事故を立証するのが難しいケースがあります。
ドライブレコーダーや目撃者の証言がない場合、被害者が納得のいく過失割合になることは少なく、被害者であっても10〜20%の過失がつくことが多いのが現状です。
過失割合は非常に複雑で高度な知識を必要とします。被害者自身で交渉することも可能ではありますが、自分の主張を「立証」することは困難なことが多いです。
このときは必ず交通事故知識に優れた専門家からアドバイスを受けましょう。
もし過失割合に納得がいかなかったときは、すぐに当院までご相談いただければ「妥当な過失割合なのか?」「修正される余地はあるのか?」についてアドバイスが可能です。
また、過失割合の交渉は弁護士に依頼した方がいい場面が多いので、そのときはぐにご紹介させていただきます。当院は交通事故に関することであれば、診療時間に関係なく電話相談を受け付けております。
「まだ通院するか決めていない」「とりあえず相談だけでもしてみたい」という方でも遠慮しなくて大丈夫です。当院は交通事故被害者が泣き寝入りしないための知識を提供することをコンセプトにしています。
適切な補償を受けるための交通事故知識を得るためにも今すぐ下記よりお問い合わせください。